Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。

読むことの快感

eureka742008-03-17

 芥川賞『乳と卵』を一気読み。とにかく読んでいる文字が脳のなかで響いているような感じがする。リズムがいいというだけでは足りない心地よさがある。読んでいて心地よさを感じさせてくれる。言葉と言葉が響き合っているのかもしれない。音読をしてみたけれども、そうするとますます反響が増してくる。

 乳と卵という女性に特有の名詞であるけれども、女性という身体を借りている自己意識たちの物語なのだろうと思う。だから乳にも馴染めないし、卵を受け止めることができない。そういう意味では女性の文学ではなくて、自己意識の文学なのだろうと思う。だから読んでとても心地いいのではないかと思う。とても素敵な世界だと思いました。

 2歳児を放置死させた母が「私だけの責任ではない」と述べたらしい。ここに虐待の本質があると思う。これを糾弾することはたやすいけれども、この人に救いの手を差し伸べることがいかに難しいことか。それを知らない人に語る権利はない。