改革の行方
現在厚生労働省で児童相談所や児童養護施設などの改革が議論されています。
トップダウンの改革は、おそらく現場のリアリティーを切り捨てることで成立するのは仕方ないとは思うのですが、現場はますます混乱するだろうなと思います。
特に児童相談所と区市町との役割分担については、大混乱が必至です。
現場の最前線にいる兵士から言わせてもらえれば、児童相談所が強制的に介入しなくてはいけない案件はそんなに多くはないです。そういう案件はそれなりに集中的な対応が必要になりますが、そんなに続くものではありません。
児童相談所にいろんな案件が次から次にやってきて、てんやわんやになっていることの方が問題なのだと思います。
新生児から18歳直前の子どもたちまでのあらゆる相談に乗るということは基本的には変わっておらず、その後も区市町や学校からは「この子どもを家庭で生活させていて大丈夫なのか」という不安に対応し、児童養護施設からは「子どもに会いに来てほしい」と言われ、所内からは「書類が整っていない」などと追いまくられる。こういうことをやりながら、新規案件が次から次に遅いかかってくるというのが現実なのです。
おそらく今回のような改革を実行した場合、児童相談所と区市町の関係はますます悪化し、お互いの仕事を明確化するための書類が増えていく。そして、現場はますます不機嫌になっていくのだろうと思います。
現場の最前線としては、児童相談所だろうが、区市町だろうが、一人の子どもとその家庭が少しでも安心して過ごすことができるようにタッグを組んで、協力するしかないんです。
現場の兵士が勇気と専門性を持って、一人の子どもとその家庭と向き合い、何かよいことが起こるためにさまざまな働きかけをすることができる。こういうことができるような環境整備をしてほしいです。
兵士を心身ともに拘束し、動きづらくなるシステムは本当に勘弁してほしいと思います。