善意が子どもたちを裏切るとき
大人たちの善意が、子どもたちを裏切るその瞬間に立ち会う。善意では人を救えないとつくづく感じる。大人たちはこの残酷さに耐えることができるのだろうか。それに耐えるものだけが子どもたちに立ち向かうことを許されるような気がする。
『水の花』ユーロスペース。『母という暴力』をモチーフにしたような作品だった。母親になることができない女性が子どもたちを苦しめる。そこから逃れるためのロードムーヴィ。それを丁寧に映像化している。とても好感が持てる。同じ主題を女性がやったら全然違うものになるに違いない。次回の作品に大いに期待。トトロの出てこないリアル『となりのトトロ』ではないだろうか。アニメ版が昭和の作品なら、こちらは平成の作品である。トトロはいつまで経っても現れない。