Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。

ろすとじぇねれーしょん

eureka742007-05-19

 ロストジェネレーション。25歳から35歳までの90年代に学生生活を送っていた人々を指すようだ。私も堂々その一人であり、一般的ではない働き方をしている自分も社会構造の「被害」者なんじゃないかとも思ったりします。世代論の危険は、そうしていくと個々人の生活とか生き方とかがどうしても捨象されてしまうことにあるのではないかと思います。

 阿部真大『働きすぎる若者たち』(生活人新書)。高齢者や障害者のケアワーカーの実態に迫る社会学。ケアワーカーは若者と主婦が支えているのだということは児童領域に置き換えてもいえることであり認識が更新される。感想としては、まずは文体がとてもスマートで切れ味がある。学問の可能性は複雑な現実をきれいに切ってみせることにあるという意味ではとても刺激を受ける。これはいまはやりのハイパーメリトクラシー批判の具体的な作業としても位置付けることができると思う。「労働環境を守れ!」という組合的な文脈に利用されませんように。

 ハイパーメリトクラシー批判の時にも考えたことだが、この論客たちの処方箋がやけにつまらない。「鎧」だの「ボランティアの活用」「ヤンキー文化の復活」だの、その直前までは論理と実証を重んじていた研究者たちがなぜかつまらない処方箋しか提示していないのか。
 そもそも知識人たちは「処方箋」を出す必要はあるのでしょうか。特に臨床とか実践とかという言葉で語られる場所においては不要ではないかと思うのです。知識人たちが「処方箋」を出さないと研究した気がしないというのは1つの病気ではないかと思ってしまいます。研究者はひたすら実証的に研究していればいいのではないかと思います。

 現場にいる者としてはハイパーメリトクラシー批判をちゃんと批判しないといけないのではないかと思います。それが最大限の共感を持ってね。「外側(アカデミック)からやるとこうなって、内側(現場)からやるとこうなる」みたいなそういう感じで批判できたらいいのではないでしょうか。

 同年代(やや年齢は下)がこういう切れ味のいい文章を発表していることに大いに刺激を受けます。いろんなことを考えされられました。ケアワーカーの必読文献です。

 息子の床屋。ご本人の希望による丸坊主。かなりすっきり。

 1週間の疲れが出ているのか、昼寝を二時間。でも眠い。