Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。

リスクパライノア

eureka742007-02-24

 自宅でゆったり過ごす。森達也日本国憲法』を熟読。信用できる書き手の一人である。今回は天皇制のドキュメンタリーの製作についてと憲法についてのドキュメンタリー。このなかで最も気に入ったのが、タイトルにある「リスクパラノイア」という言葉。自分たちに被害をもたらすかもしれないリスクについてパラノイアの状態になっていることを指す。

 いまの仕事にもぴったり引用できる。リスクを見つけてひたすら不安に陥る。そして責任を押し付け合い、攻撃しあう。人は何かを守ろうとするときにこそ攻撃的になるというのも森の見解である。児童虐待をめぐる現実をこの言葉で説明できるのではないかと思う。死亡事例が起これば、一気にある機関をつるし上げる。いま私たちが置かれている状況を対象化するためにも必要な本だと思う。人は悪意ではなく感覚の停止によって他者を殺す。天皇をめぐる妄想もとても刺激である。