お互いが高まる議論を!
下記の新書本を読みました。先人児童福祉司の偉大なソーシャルワークの記録です。それだけでも必読です。こういう個人の突破力で現場が躍動するのだと思います。
しかし、私は「赤ちゃん縁組」を擁護するロジックに不快感を覚えます。「赤ちゃん縁組」をはじめ家庭的養護推進者の言説は、既存の社会的養護を貶めることで自分たちの優位を主張するからです。
乳児院や児童養護施設などの社会的養護の現場が、不十分な態勢であることは、内部にいる人たちも十分に感じています。しかし、いまのシステムではこれでやるしかないわけです。責められるべきは、現場にいる方々ではなく、その程度でよい考えている現段階の児童福祉システムそのものです。
社会的養護対家庭的養護という対立図式は本当に不毛です。どちらもきちんと機能していて、子どもの状態に合わせて選べるということが大事なのです。
だから、家庭的養護推進者は自分たちの主張を述べるときに、社会的養護を「乱用」してはいけないのだと思います。
お互いがそれぞれの存在を高めていけるような議論をしなくてはいけません。ここで対立している場合にではないのです。この問題をもっともっと広く共有してもらうためにここで立ち止まって、対立している場合ではないのだと思います。