『めぐりあう日』ー養子を扱った映画作品を振り返る⑧
今回はウニー・ルコント『めぐりあう日』です。
この監督自自身が養子であり、前作『冬の小鳥』も養子を主題にした作品でした。
『冬の小鳥』が子どもを主人公にしていますが、『めぐりあう日』をその子どもが大人になった世界を描いているようなつながりを感じさせます。今回の作品は、養子として育った女性の物語です。
一つ前に紹介した『愛する人』と比較すると、フランス映画らしい静謐なショットが連なっていきます。まずはショットの力強さがとても印象的です。ゴダールや諏訪敦彦監督と組んでいるキャロリーヌ・シャンプティエが撮影監督でした!
内容ですが、養子として育てられた成人女性が、実母を探していくというのが基本のストーリーです。物語に決着を付けるためには仕方がないのかもしれませんが、母子の出会い方があまりにも偶然すぎて、個人的には物足りなさを感じました。
登場人物一人一人の演技がものすごくよいだけに、ストーリーの安直さが逆に浮き出てしまうような印象を持ちます。
『愛する人』の時もそうでしたが、養子を扱う物語のときには、物語をどう閉めるのかというかで、作品の世界が決まるような気がします(そこに監督の作家性が出る)。
観ておくべき作品であることは間違いないです。おすすめです。