Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。


 黒沢清監督最新作です。イーストウッドやスピールバーグの新作が公開されれば、当然劇場に観に行くのと同じようなことで、黒沢作品も劇場で観なくてはいけないのです。


 最新作『クリーピー』ですが、黒沢清フォロワーなら、当然に『CURE』を想起すると思います。今回は『CURE』をさらに進化させようという野心を感じさせる作品です。

 『CURE』はまだ正常と異常という境界がまだ残っていたのですが、今回はその境界自体を壊そうという試みだと思います。


 『クリーピー』に出てくる登場人物は、みんな普通であり、みんな狂っています。観客である私たちはどこかで境界を越えた異常を待望していますが、最後までそれはやってきません。一人一人は普通であったり、少しずつおかしな言動をしていく。それだけです。


 異常なので、隣人の家の奥の部屋です。これは今年のアカデミー賞で受賞した『ルーム』なんかよりもかなり異様です。

 
 正常と異常という概念を壊していくことを、黒沢清はホラーと呼ぶのかもしれません。

  
 異物感のある映画が、渋谷のど真ん中で上映されていること自体が愉快なことだと思います。万人には薦められませんが、観た人に少なからず影響を与える作品になっていると思います。