保育園をめぐる感情をめぐって
認可保育園に入れた、入れないをめぐって連日のようにマスメディアや国会でもがやがやと取り上げられています。
認可保育園に入れなかった人は憤り、入れた人は安心感と同時にもやもやした申し訳なさを感じているのではないでしょうか。
入れなかった人の怒りはインターネットを通じて拡散され、伝染したり、反発を受けたりしてその磁場に触れた人の感情を揺さぶります。その磁場に巻き込まれていくうちに人は不安になり、自分にとっての味方と敵を認定し、敵を攻撃していきます。
そういうやりとりを観察していると本当に心がヒリヒリします。
入ることが出来た人、入れなかった人は入れ替わっていた可能性もあるわけです。そうしたら反対の感情を引き受けることになっていたはずです。
人の感情というのは、それくらい状況に依存しています。感情というのは人を動かす絶対的な強さと、状況に規定されている相対的な弱さを同時に持っています。
保育園の問題は、社会の問題であり、感情の問題ではありません。保育園入園をめぐる感情は社会のインフラ不足という状況に規定されているものです。
保育園が満ち足りた社会を作るというのは簡単ですが、それを実現するのには別の次元の調整がたくさん必要だから簡単ではありません。
だから人は社会的な問題を感情の問題に落とし込んでしまうのかもしれません。
しかしです。
私たちはいつもこんな感じで感情に飲み込まれて、敵を認定し、バラバラに分断させられてしまっているのだということには自覚的でありたいと思います。