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圧倒的なドキュメンタリーである。中国雲南省にある精神病者や反社会的な人物を収容するための施設を、柵の内側から撮り続けた希有な作品である。
4時間という上映時間にたじろがない者はいないだろうけれども、収容されている閉塞感に比べれば、なんと短い時間ではないか。
この現状を人権等の立場で糾弾することは可能であるけれども、監督であるワンビンのまなざしは糾弾的ではない。その置かれた環境の中で、生きる人たちの生の群れをきっちり映像として残そうとしている。おそらくキャメラがなくても、かれらはそうであったたような様子として、映像に収まっている。
ワンビンの対象に迫るその近さが、抜群に素晴らしいのだと思う。
彼らはこれからもそのように生き続けるに違いない。私たちはその現実に何もすることはできない。
しかし、この現実を四時間という圧倒的な時間のなかで突き付けられたことによって、この作品を観る前に比べて、世界が一つ更新されたことは間違いない。そういう強さを持った作品である。