Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。


大学の講義の仕上げて『レディバードレディバード』を学生と一緒に観る。個人的には10年ぶりだったのですが、10年経って、自分の立場も変わって、複雑な文脈のなかで複雑な気持ちになりました。行政から子どもを奪われ続ける母親の話を母側視点で描いています。いまから20年前の作品ですが、いままさに日本で起こっていることを先取りしているような内容でもあり、児童虐待防止にかかわるすべての人が観るべき作品ではないかと思います。


20年経って、息子(ジム・ローチ)が『オレンジと太陽』という作品を撮るわけですが、息子はこの『レディバードレディバード』を意識しているのではないかと思います。『オレンジと太陽』の冒頭場面が、子どもを保護する場面から始まります。『レディバードレディバード』はソーシャルワーカーの冷徹な面が演出されていますが、『オレンジと太陽』はソーシャルワーカーの可能性が演出されています。親子で共にソーシャルワーカーに関する映画を撮っていることは明らかに意図的だと思いますし、世代的にも私は息子であるジムの方に共感します。


ソーシャルワーカーという職業がイギリスでは映画に登場するほどに社会的に認知されているのだろうと思います。日本がそういう時代になるまでには、あとどれくらいの時間が必要なのでしょうか。