Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。


児童養護施設の実践もまた三角関係であるということを映し出すドキュメンタリーである。一つの魅力的な母性の固まりである保育士の下には、一人ではなく、二人の子どもがまとわりつく。二人の子どもたちは、保育士を奪い合うようにくっついている。一人の子どもにとって、生みの親とは違うかけがえのない大人になろうとする「隣る人」は、二人の子どもから同時にかけがえないの存在となるように求められる。これが児童養護施設の実践の現実である。


もう一つの三角関係は、部屋替えによって、「引き裂かれる」子どもと職員である。部屋替えという第三の事情によって、二者関係は引き裂かれる。これもまたどこの児童養護施設でも起こりうる現実である。


そして、生みの親と育ての親(保育士)と子どもの三角関係である。彼女が宿泊ではなく、日帰りを望んだのは、保育士への罪悪感だと思う。その三角関係を生きざるを得ないのが、児童養護施設で生活をする子どもたちの現実である。


これを二者関係の物語として評価するのは間違っている。それは観客の思い込みにすぎない。画面にはいつも第三者がいる。その画面に映っている現実を見つめなくてはならない。


この三角関係こそが、社会的養護という実践の本質である。これを二者関係の物語に歪曲してしまうことは、社会的養護という実践の可能性を破壊することになるだろう。