Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。

月の砂漠 [DVD]

月の砂漠 [DVD]

 青山真治『月の砂漠』だん。傑作『EUREKA』の直後に撮られた作品として忘れてはならない作品である。『EUREKA』はカンヌ国際映画祭で招待されているそのちょうどそのときに、実際のバスジャック事件が起こったことで、ちょっとした預言として日本社会に受け入れられた。 『EUREKA』は映画が現実世界を追い越してしまう可能性を突きつけた作品だと言っていい。そして、その後に撮られたのが『月の砂漠』であった。この作品は預言の射程をさらに未来に延ばしている。話の柱は、ITバブルの渦中を生きる男と格差社会の底辺を生きる男を対比させることにある。この設定自体が2000年代後半から始まるITバブルの崩壊や格差社会を預言しているではないか。2001年公開されている本作品は、5年先、いや10年先を見通した脚本である。


 青山真治映画作家としての資質は、同時代性にある。同時代の分かりやすい記号などは決して安易に登場させないが、いまのこの時代に、この作品を作るべきかということを考え抜いて、映画を撮っていることは間違いない。


 本作に登場するとよた真帆の美しさは尋常ではなく、必ず観るべきだと断言できるほどに美しい。