振替休日
『まなざしの地獄』を久しぶりに精読。魂に効く論文である。研ぎすまされた文体がこちらの魂を刺激する。学者としての聡明さというよりも人が生きていることへの深い敬意みたいなものを感じる。これからも何度も見田論文を読み返すことになると思う。
このそれなりの安定を、一つの切実な欠如として感受せしめるものは、これらの労働者階級の、たんなる労働者ではない部分、誇りをもった人間の主体としての部分に他ならない。
「金の卵」であるということは、この卵の持主にとっては幸福であるが、その卵自身の内部生命にとってはけっして幸福ではない。卵殻が「金」でできているとき、その卵自身の内部生命は、やがてその成功の過程にあってみずからの殻をくい破ってはばたき出すことを封じられ、その固い物質お鋳型の中で腐敗し石化してしまうであろう。
怒りとは、あまりにも複雑な状況を単純化するための、手あたり次第の魔術的な試みでしかない。