Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。

散髪と本と映画と

eureka742008-02-10

 3連休2日目。息子と実家へ。2ヶ月ぶりの散髪。それにしてもひどい髪型をしている。一気に短髪へ。息子は祖父母に連れられて錦糸町へ。バイキングなぞを食べたらしい。

 森達也『死刑』を一気に読了。森達也の文章がとても好きだ。いつも迷っていて、でも最後に可能性をきちんと謳う。生理的にぴったり来る。それにしても放送禁止の歌や、オウム、天皇制、そして死刑制度と現代社会で語ることさえ躊躇う題材の森のなかへズンズン進んでいく。それが何かの成果を挙げたわけではないし、新しい制度が出来る上がるわけでもない。でもその歩みそれ自体に価値があるのだと思う。私たちは、自らの歩み自体を忌避しながら、なにげなく過ごしてしまう。そういう無難な場所からいつも世界を理解してしまう。森の歩みはそんな傲慢さに揺さぶりをかけようとしている。世界が変わっていくためにまず必要なことは、自分が変わること。自分が変わらない歩みは、世界を変えることにはならないことを痛感する。世界が変化するというのはそれぐらい大変なことなんだろうと思う。そういう絶望の淵から可能性を叫ぶ森の歩みから刺激を受けていきたいと思う。

 夜はユーロスペース砂の影』。これもまた刺激的なフィルム。スクリーンから官能と無常が漂っている。8ミリフィルムに焼き付けられた世界は存在しているのか否かすら判別のつかない世界である。そんな世界のなかで、生きているのか死んでいるのか分からない人間たちが蠢いている。それだけなのになぜか胸を締め付ける。自分が観たものが現実なのかそれとも幻想なのかも分からなくなる。手に掬った砂が指の間から徐々に落ちていくようなそんな感覚を抱く。これから追いかけていくべき作家を発見する。『人のセックスを笑うな』が光だとすれば、この作品は闇である。そして私は断然後者を指示する。