私を掘り尽くした先にあるもの
河瀬直美『垂乳女』シネマアンジェリカ。『もがりの森』の公開を控えて回顧上映。他の作品は劇場で見ているが、未見のこの作品をチェックする。命のつながりという後者の作品を生み出す原動力となっている主題が込められいる。新しく生まれてくる命と役割を終えようとする命の間に一人の女性が生きている。そんな瞬間が焼きついている。
いまでは珍しくもない「私映画」であるが、この監督の凄さは、それと平行して物語への昇華があるところだと思いますね。自分を掘り下げていったところに、他者との共有があるという逆説を生きているんだろうと思います。
命は受け渡されていく。生も死もその1つの点でしかない。そんな当たり前のことを突きつけられた気がします。