『少年と自転車』ー養子を扱った映画作品を振り返る⑥
カンヌ国際映画祭常連のダルデンヌ兄弟の2011年の作品です。
これは養子というか里親の話です。最初は週末里親という枠組みで出会うのですが、時間の流れと共に一緒に暮らすようになっているようです。
まずは少年の佇まいや表情が素晴らしいです。これはダルデンヌ兄弟の演出の凄さだと思いますが、寡黙だけれども表情で置かれている孤独がビンビン伝わってきます。
あえて厳しいコメントを付けるとすれば、少年と里親が警察に行く直前に少年が謝るシーンがあるのですが、あそこは台詞ではなく、動きやしぐさで演出してほしかったです。人への基本的な信頼感のない子どもにとって謝罪の言葉を口にするというのは、とても大変なことだと思うからです。
上映時間が87分というのもコンパクトで素晴らしい編集だと思います。長くしようと思えばいくらでも長く出来る内容だとは思いますが、思い切った編集で90分以内に収めているのも映画の質を高めていると思います。
ダルデンヌ兄弟の作品は、日本で公開された作品はほぼすべて観ていると思うのですが、少年少女の演出が本当に素晴らしいと思います。
養子や里親を扱った作品としては、抜群のクオリティーを備えた作品だと思います。未見の方はぜひご覧になってください。