Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。

『ホワイト・オランダー』ー養子を扱った映画作品を振り返る⑤

 2003年で日本で公開された作品です。これはなかなか見応えがありました。

 

 毒を持つ花(ホワイトオランダーという品種があるようです)の美しい母親と、それに翻弄される娘のやりとりを軸に物語は進んでいきます。

 

 母親が直接的に娘に関与することができないので、娘は養子に出されることになります。複数の里親宅を転々とすることになるのですが、その度後に、養母と娘の間の女性同士の距離感が狂っていき、本児は安住の地に収まることはできません。

 

 当然娘の生活は荒れ始めるのですが、それを髪型や化粧だけで演出しているところがまず印象に残ります。それを観るだけで精神の荒廃が一発で理解ができます。 

 

 養母もまた複雑な事情を生きている生身の人間として描かれているところも魅力的な演出だと思います。決して聖人君主としては現れません。

 

 母と娘、養母と養子という女性同士の関係性が入り組んだ世界が描き出されています。母親のミシェル・ファイファーはやったことはとんでもないことですが、娘に語る言葉はあまりにも的確すぎて、観ている者を釘付けにします。この母親像は本当に怖いと思いました。

 

 ここまで観たなかで一番出来よい作品だと思います。


White Oleander Persuasive Video