『草原の椅子』ー養子を扱った映画作品を振り返る③
今回は『草原の椅子』です。宮本輝原作の小説の映画化だそうです。
赤の他人である子どもを育て、養子にしようとする父子のお話です。そもそもその設定自体がアクロバットな印象を残します。赤の他人が子どもを育てるという設定自体が現実離れしているように思います。
エンドクレジットに複数の児童養護施設の名前が出ていますが、本編では「施設」は避けられるべき場所として描かれており、本来の役割とは違う扱われ方をしているのではないかとも思います。
今回一番気になったのが、実父母の演出のされ方です。役者たち自身のせいではありませんが、まったくリアリティーがなかったです。演出ミスだと思います。
実父母をクレイジーに演出することで、子どもの悲惨さを浮かび上がらせる方法ははっきり言ってダメだと思いました。
作り物だからそこまで厳しく言わなくてもと思われる方もいるかもしれませんが、リアリティーを欠いてはドラマのクオリティーは高まらないと思います。そして、139分は長過ぎです。
黒木華の娘役はよかったです。複雑な文脈を演じることができる素晴らしい女優さんだと思います。