子ども一人ということはありえない
最近よく聞きませんか、Child First というフレーズ。
子どもを第一に考えようというスローガンです。
虐待防止においても大事なスローガンだと思います。しかし、これが実践されると、概ね保護者を怒らせるという結果になっているような気がします。
Child Firstだから、親のことを無視していいというわけではありません。このスローガンで家族に突入していくと、大概の場合は保護者を怒らせ、援助者との最低限の信頼関係の構築が難しくなっていきます。
逆に、保護者が優位であり、保護者に謙れといっているのでもありません。子どものよい育ちを一緒に考えていくというパートナーシップを結べるかどうかなのだと思います。
私の基本的な認識は、ウィニコットの人間論に基づいています。一人の子どもはいない。子どもは誰かと一緒にいるときに子どもであるというテーゼを全面的に信じています。私はこの認識に基づかない援助はいつも袋小路に陥ると考えています。
子どもを理解するには、保護者や子どものそばにいる大人を理解しないといけないと思うのです。それがソーシャルワーカーの社会診断の基本だと思います。子どもだけを切り取って、ヒアリングをしても、それはその場面でしか見せない子どもの一面です。
子どもは目の前にいる大人に適応しようとします。そのことに自覚的であるべきです。自分の前だけで子どもは本音を話すなんていうのは、逆転移そのものだと思います。
虐待対応の基本的なフレームワークがいろいろあって、援助者間でも錯綜しています。そのこと整理が必要なのではないかと思った一日でした。