Social Worker's Note

社会福祉士です。現場で感じたことや考えたことを発信します。

『愛する人』ー養子を扱った映画作品を振り返る⑦

2009年に公開されたアメリカとスペインと合作作品です。 養子縁組をめぐる大人のドラマです。このドラマの軸は、若年で出産しその後養子縁組へ託した女性が、その後立派な女性となり、再び養子縁組に自らの子どもを託すという反復の物語にあります。 実…

『少年と自転車』ー養子を扱った映画作品を振り返る⑥

カンヌ国際映画祭常連のダルデンヌ兄弟の2011年の作品です。 これは養子というか里親の話です。最初は週末里親という枠組みで出会うのですが、時間の流れと共に一緒に暮らすようになっているようです。 まずは少年の佇まいや表情が素晴らしいです。これ…

『ホワイト・オランダー』ー養子を扱った映画作品を振り返る⑤

2003年で日本で公開された作品です。これはなかなか見応えがありました。 毒を持つ花(ホワイトオランダーという品種があるようです)の美しい母親と、それに翻弄される娘のやりとりを軸に物語は進んでいきます。 母親が直接的に娘に関与することができ…

『しあわせの隠れ場所』ー養子を扱った映画作品を振り返る④

2009年に一般公開されています。実話ベースの養子のアメリカンドリームです。 一方の主人公である不遇な黒人のうつろなまなざしが印象に残ります。これこそがアメリカ映画という感じの展開ですが、最後にはハッピーエンドが絶対待っているので、安心して…

『草原の椅子』ー養子を扱った映画作品を振り返る③

今回は『草原の椅子』です。宮本輝原作の小説の映画化だそうです。 赤の他人である子どもを育て、養子にしようとする父子のお話です。そもそもその設定自体がアクロバットな印象を残します。赤の他人が子どもを育てるという設定自体が現実離れしているように…

『JUNO/ジュノ』ー養子を扱った映画作品を振り返る②

二本目は『ジュノ』です。こちらは、予期せぬ妊娠をしてしまった16歳の少女が、実子を養子に出すお話です。リアリティー追求というよりも、予期せぬ妊娠をポップに乗り越えようとする青春ドラマになっています。 日本だとこういう風に明るく物語を描くこと…

『秘密と嘘』ー養子を扱った映画作品を振り返る①

訳がありまして、養子を扱った過去の映画作品を抑えていくことになりました。 劇場で観るわけにもいかないので、自宅でチェックできるものをまずは抑えていきたいと思います。 一つ目は、イギリスのマイク・リー監督の『秘密と嘘』です。カンヌのパルムドー…

慎泰俊『ルポ児童相談所』(ちくま新書)

前著『働きながら、社会を変える。』が素晴らしい本でしたし、著者が代表を務めるLiving in Peaceの活動の斬新さにも感動していたので、この最新著作も読まないわけにはいきません。 この著者から児童相談所や一時保護所がどんなふうに見えているのだろうか…

言葉を何のために使うのか。

発売直後にすぐに購入して読んだのですが、あまりに気分が悪かったので、しばらく放置しておきました。しかし、この本が放った砲弾の力をきちんと評価しておかないと今後の議論が荒くなるような気がしますので、ここで取り上げることにしました。 タイトルか…

さぼっていました。

まったく更新していない。完全にさぼっています。ごめんなさい。 言葉で伝えないと誰にも伝わらないけれども、言葉にすることの軽薄さも内在していて、どうにも継続ができません。 言葉にするって本当に軽薄な作業なんだろうと思います。自分の生きているリ…

すべての人を包み込む奇跡の居場所ー重江良樹『さとにきたらええやん』

大阪市西成区釜ヶ崎にある「こどもの里」に密着!映画『さとにきたらええやん』予告編 大阪市西成区は、日本三大ドヤ街の一つ釜ヶ崎を抱えている。その釜ヶ崎のなかにすべての子どもたちを包み込む居場所がある。それが今回の作品に登場する「こどもの里」で…

絶望への微かな抵抗ー小澤雅人監督作品『月光』

2016年6月11日に小澤雅人監督最新作『月光』が封切られました。 映画『月光』予告編 監督が企画を立てたおよそ二年前からひそかに応援をしてきた者としても、無事に公開されたことを心から喜びたいと思います。 この作品は、二つの意味で絶望的な作品…

ポッドキャストを更新しました!

ずっと応援してきた『月光』が6月11日に公開されます。今回は前夜祭的にみんなでわいわい盛り上がりました。 ぜひ劇場で『月光』を観てもらえると嬉しいです。 小澤雅人監督作品『月光』を勝手に応援します! No Name Supporters テレビ番組/映画 ¥0

ポッドキャスト更新しました!

今回のゲストは、フォトグラファーの長谷川美祈さんです。 小澤雅人監督作品『月光』を勝手に応援します! No Name Supporters テレビ番組/映画 ¥0

ポッドキャストを更新しました!

小澤雅人監督作品『月光』を勝手に応援します! No Name Supporters テレビ番組/映画 ¥0 映画『スポットライト』について語り倒しています。 近親姦虐待の当事者たちは、この映画をどう語るのでしょうか。暇つぶしにいかがでしょうか。

トム・マッカーシー『スポットライト世紀のスクープ』

映画『スポットライト 世紀のスクープ』予告編

鳥居という奇跡

189システムの追跡調査をお願いします!

110や119と同じような189という児童虐待通報システムが少し前にできました。 運用が開始されて、つながりにくいというクレームがあり、待ち時間が70秒から30秒に改善されたというニュースが流れていました。 こういうシステムが出来ること自体…

正論によって見えなくなること

c-3.bengo4.com 今回の国会で児童福祉法が改正される予定です。これまでにない大きな規模の改正です。少しずつですが、こうやって進歩していくのだと思います。 今回の一つとして、上記のレポートにあるように児童相談所に弁護士を配置することが義務づけら…

保育園をめぐる感情をめぐって

認可保育園に入れた、入れないをめぐって連日のようにマスメディアや国会でもがやがやと取り上げられています。 認可保育園に入れなかった人は憤り、入れた人は安心感と同時にもやもやした申し訳なさを感じているのではないでしょうか。 入れなかった人の怒…

児童相談所が増えること

今回の国会で児童相談所の設置基準が改定されるようです。 これまでは都道府県と政令指定都市に設置義務のあった児童相談所が、中核市や東京23区にも設置できるようになりました。これで法律は整いました。 後は各自治体の判断となります。 基本的には地方…

ポッドキャストを更新しました!

私がホストを務めているポッドキャストの最新版を更新しました。 暇つぶしにいかがでしょうか。 小澤雅人監督作品『月光』を勝手に応援します! No Name Supporters テレビ番組/映画 ¥0

杉山春『家族幻想』

杉山春さんの新著です。『ネグレクト』を読んで、自分のキャリアが決まってしまった私としては、杉山さんの新著を読み落とすわけにはいきません。さっそく購入して一気に読んでしまいました。 今回は「ひきこもり」がテーマです。長期間に渡る取材と取材対象…

攻撃とは防衛である。

久しぶりの更新となってしまいました。今日は書かねばいけない気がしています。この怒りをしっかり残しておくべきだと思いました。 とある組織とやりとりをしたのですが、その組織の規格に適応しない限りは門を跨がせないという、いわゆる「ゼロ・トレランス…

ポッドキャスト更新しました!

私がホストをやっているポッドキャストを更新しました。 韓国映画『ハン・ゴンジュ』をレビューしています。 お時間のあるときに聴いて頂けると光栄です。 https://itun.es/i6SW2b6

高岡昂太「アウトリーチ・スキル」(『臨床心理学』2015年11月掲載)

児童虐待の現場では、アウトリーチをいかにワークさせるのかがポイントになる。 アウトリーチがうまくいけば援助はうまく機能するだろうし、失敗すればクレームになる。 本論は実務者が家庭訪問の最前線で苦しみながら磨いたテクニックをまとめようとしてい…

ネグレクトを考える。

5歳児白骨遺体事件 被告は「SOSを発する力が全くなかった」 - 週刊女性PRIME [シュージョプライム] https://t.co/PX39RhPNnS — SocialWorker#171658 (@Potential_Space) 2015, 11月 18

横につながる

私は児童福祉司をやっています。同じ児童福祉司をやっている人と横につながりたいと考えています。児童福祉司が社会的に大事な存在として認知されるような発信をしていかないといけないのではないかと思います。 役所の一出先機関の末端職員扱いされているう…

改革の行方

現在厚生労働省で児童相談所や児童養護施設などの改革が議論されています。 news.nifty.com トップダウンの改革は、おそらく現場のリアリティーを切り捨てることで成立するのは仕方ないとは思うのですが、現場はますます混乱するだろうなと思います。 特に児…

ソーシャルワーカーを評価すること。

職場のトップとの面談がありました。自分が評価されていないことをひしひしと感じる時間でした。現場ではそこそこやっていると思うのですが、それがまったく把握されていないようです。 ソーシャルワーカーとしての仕事を評価するための軸が欲しいと思います…

『月光』応援ポッドキャスト最新号アップしました!

私が聴き手を務めていますポッドキャストが更新されました。 今回は性的虐待の被害者当事者3人です。 よければ聴いてみてください。 小澤雅人監督作品『月光』を勝手に応援します! No Name Supporters テレビ番組/映画 ¥0

コミュニティーの無意識的な復讐心

イギリスの精神分析家のウィニコットの書簡集を読んでいるのですが、当時1950年代のイギリスの児童虐待や非行問題についても言及しています。いつの時代にも虐待や非行という問題はあるということを改めて認識させられます。 一つの手紙(『ウィニコット…

職場内配置換えがありまして、余裕を失っております。それでも書いていかねばならないとは思っているのですが、思考が拡散してしまっております。 こんな厳しい状況であるからこそ、言葉を紡ぎ出していくことで、新しい視野が拓けてくるのだと思います。 い…

スティーヴ・ジェームス『スティーヴィー』最終上映!

http://moviola15th.tumblr.com/post/127778958664/スティーヴィー-stevie-監督スティーヴジェイムス-2002年-アメリカ-145分 moviola15th.tumblr.com 私がこの作品を観ていなかったら、いまの自分はないと思いますし、観た人の感性と価値観を揺さぶる作品で…

上限を設ける。

生活保護の現場担当者は、担当の上限が決まっていると言います。100件を越えるとそれ以上は担当を持たせることはしないで、新しい人が配属され、係が増えていきます。これは公金を扱うという観点からも適正な配置だと思います。 一方、児童相談所では案件…

ダイエット戦略

いろんなことを書き散らしていますが、ここはnoteなので、アイデアの種を書き残しておこうと思います。 児童相談所の機能強化が国レベルで議論されていますが、その前に機能のダイエットをするという議論をすべきだと思います。これ以上の重さを増やしていく…

【短評】『ちいさいひと』

最近Kindleデビューをしたのですが、最初のダウンロードは『ちいさいひと』でした。最初から最後まで読み通すことができました。 児童福祉司を扱った漫画としてヒットしているようです。こうやって社会的認知が広がっていくわけなので、どのように表象される…

再読します。

ソーシャルワーカーはもっとウィニコットを好きになれるはずです。ここの鉱脈はまだ掘られていないと思います。

【短評】鵜飼奈津子2015「児童養護施設に暮らす子どもと心理療法、そして職員の支援」、『子育て支援と心理臨床Vol.10』

精神分析的心理療法プロパーによる児童養護施設論である。面接構造を守り、施設内で心理療法の構造を守るべきという立場からの論陣である。 まあこうなれば理想的かもしれないけれど、それを許さない児童養護施設の構造自体を問題にすべきではないかと思いま…

官僚制と専門性の逆立する関係

児童相談所は都道府県役所の出先事業所です。児童福祉法上は専門機関でもありますが、役所組織の末端の一つでしかありません。官僚制のなかで専門性はいかに向上され維持されるのかという問いを立てないといけないと思います。 たとえば、官僚制は役人が一つ…

シモキタトナリという実践

小田急線世田谷代田駅から歩いて数秒のところに「シモキタトナリ」という小さなカフェが開店しています。平成27年6月に開店したということなので、4ヶ月が経とうとしています。http://simokitatonari.shoehorn.jp このカフェは一見どこにでもあるような…

8万件突破!

昨日厚生労働省が全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数を発表しました(平成26年度)。8万件を越えたとの内容でした。 これは昨年度の数字ですが、今年度に入ってからも通告数は増えており、来年は9万件を突破することは間違いないと思います。 数…

2)合意形成力

二つ目の力は合意を形成する力です。対話をしながらステイクホルダーの関係者との間で合意を形成していかなくてはなりません。 一人の子どもをめぐってたくさんの関係者がかかわっています。その関係者が合意できるような働きかけなければなりません。交渉力…

1)電話対応力

仕事に気力を奪われており、テキストを書く気分にはならないのですが、少しだけは書いておこうと思います。 前回指摘した「電話対応力」についてです。電話対応にはその人のコミュニケーションそのものが現れると言っても過言ではありません。不安が強い人は…

児童福祉司の国家資格化を考える①

断片的になってしまうかもしれませんが、児童福祉司の国家資格化を考えてみたいと思います。 私は実務者ですから、そこを発信するのが一番誠実だと思いますし、読み手のみなさんにも届くのではないかと思います。 というのも、人が足りないとか言っても、実…

現場から書く。

私は研究者ではなくて、実務者です。実務者の視点からいろんなことを発信することは特にこの領域においては大事なことだと思います。 自分の立っている現場を踏まえ、そして少しだけ抽象化させて、問題を共有するために言葉を紡いでいこうと思います。 大事…

『夢がもてない』を批判するー里親委託はなぜ増えないのか

はじめに 本論では、NGO団体HUMAN RIGHT WATCH(以下、「HRW」)が2014年に発行したレポート『夢がもてない』を批判する。HRWは、国際的なNGOであり、世界各国で人権が守られているのかを監視し、人権が守られていない事実を社会へ問うことをミッション…

ちょっと時間をください

一晩寝て、掲載を一回見送ることにしました。 すいません。少し時間をください。

サワーグレープ

とある雑誌に原稿を投稿したのですが、アカデミックではないという理由で完膚なきまでに拒絶されました。 その原稿をここに掲載します。私は別にアカデミックでありたいわけではなくて、みんなと問題意識を共有したいだけなのです。 ちょっと長いですけど、…

最新のPodcastをアップしました!

小澤雅人監督作品『月光』を勝手に応援します! No Name Supporters テレビ番組/映画 ¥0 今回は、元児童自立支援施設職員のジェイさんがゲストです。 とても刺激的なお話です。よければ聴いてみてください。