『JUNO/ジュノ』ー養子を扱った映画作品を振り返る②
二本目は『ジュノ』です。こちらは、予期せぬ妊娠をしてしまった16歳の少女が、実子を養子に出すお話です。リアリティー追求というよりも、予期せぬ妊娠をポップに乗り越えようとする青春ドラマになっています。
日本だとこういう風に明るく物語を描くこと自体に抵抗が発生しそうな気もします。
主人公の女の子もどこまでも前向き、悩むことがありません。周囲の大人たちをひっぱっていくような力強い女性として演出されています。
音楽の使い方や映像の処理も非常に明るい感じです。予期せぬ妊娠が見舞われた女子高生の青春物語というのが正しい評価だと思われます。
養子となる男女の方はどこまで情けなく描かれています。特に父親候補の男性は完全にダメ人間になっていきます。その結果やはり「母は強いのだ」というメッセージがビンビン伝ってくることになってしまいました。
『秘密と嘘』ー養子を扱った映画作品を振り返る①
訳がありまして、養子を扱った過去の映画作品を抑えていくことになりました。
劇場で観るわけにもいかないので、自宅でチェックできるものをまずは抑えていきたいと思います。
一つ目は、イギリスのマイク・リー監督の『秘密と嘘』です。カンヌのパルムドールを受賞している作品です。話のど真ん中に養子縁組が組み込まれています。
このお話は養子に出した側の女性に焦点を当てています。養子に出された方が非常にクールで理知的です。実母の方がとっちらかっている印象です。どこに焦点を置くのかは監督の作家性だとは思いますが、この作品は実母寄りの設定です。
実母の親族関係を織り交ぜながら、実子が少しずつその磁場に吸収されていくことでドラマは進展していきます。ドラスティックな展開はありませんが、実母と実子が言葉を交わすシーンがとても印象的です。